柔軟宮グランドクロスのただなか、
よく聞く&そうだなあ、と思うのが「流れに乗る、流されてゆく」というフレーズ。
冬至に立てた、今年を占う易も
「天の下に水が流れる、それ自体は良いことなのだけれど、
流れをせき止めると良くなくて、
基本受け身で、状況に応じて自分が変わってゆくしかない
」という卦だったし。

古典に出てくる言い回しで「浮き河竹(うきかわたけ)」というフレーズがあります。
主に遊女の身の上を例えていうものらしく、
最初に知ったのは歌舞伎『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』のセリフ。
おいらん、そりゃあちっとつれなかろうぜ。
夜毎に変わる枕の数、浮き河竹の流れの勤めの身には・・・


手元の「明解 国語辞典 改訂版(金田一京助監修)」(昭和40年改訂114版)によれば
「うきかわたけ:浮き沈みの定まらない、遊女の身の上」。

辞書によっては「川辺に生えている竹が水量の増減で浮き沈みすることから、不安定な境遇」と
解説しているものもありましたが、
個人的には川にぷかぷか浮かび、くるくると流れに流される竹のイメージです。

浮きは「憂き世」に通じ、頼りなくて大きな流れに流されるがまま、
ほんとに自分ではなすすべもない、運命に流される遊女の身の上、ということなんでしょうけれど、
派遣勤めを渡り歩いている時、これは現代の浮き河竹だなー、と思いました。
企業に直接雇用してもらえるわけではなく、交通費も自分持ち。
会社都合で契約が終わることもある。
更に派遣法の関係で一つの職場での雇用期間は3年まで、というのが大半で、
自嘲気味に「浮き河竹の流れの勤めの身・・・」と口ずさんだりしたものです。

しかしまあ、この会社に入れば、正社員になれば、
この資格があれば、一生安泰!なんて言い切れなくなったこのご時世です。
柔軟宮グランドクロスの時代には、
むしろ積極的に浮き河竹となって世の流れに乗ってゆくべきなのかも。

そもそも私は戌亥天中殺グループの一員なので、「目標を立てちゃいけない」のだった!
・・・といまさらながら気づいたところで、
もう1つ、「流される」と言えば思い出す、もう1つのフレーズを歌いながらお別れしたいと思います。

♪なーぜー、あなたとであいー、流れながれてー、どこまーでーゆくのー。(『砂の惑星』ユーミン)

ザ・ダンシング・サン/松任谷由実
松任谷由実
EMI Records Japan
1994-11-25